複雑系の渦に落ちて

ダラダラ生きていきたい 

友情と恋愛的な惹かれの違いってなに!? ①

 先日、目標について書きました

chiyuki7658.hatenablog.com

 その記事の「クィアな友達や、私のことを正直に話せる友達を作る」という項において、友達作りとかをやっていきたいという抱負をつらつら書き連ねていたのですが、時折湧き上がるこうした交流欲は一体何なのだろうという疑問が浮かび、思索を深めたいと思ったので、今回はアロマンティック*1 自認の私にとっての友達欲について少し掘り下げて考えてみたいと思います。

 

今回 友情と恋愛的な惹かれの違いってなに!? ①

次回 

chiyuki7658.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友情」、「恋愛」とはそもそも何か

 

 私は恋愛的な惹かれがよくわからないなと思っているので、今のところアロマンティックだと定義づけているのですが、クワロマンティック*2という概念にも親近感を覚えるところがあります。それは、私個人の経験と照らし合わせるなら、性的な惹かれが生じる対象は男性で、多くの人はその場合はその対象に対して恋愛的な魅力を感じるのだと思いますが*3、私の場合は男性に対してのみ恋愛的に惹かれるという感覚がわからず、まして男性以外の人に対しても同様で、そもそも恋愛的な惹かれというのは一体何なのかという疑問が浮かんできました。

 

 友情や職場における信頼関係、家族との関係性など、愛を含む他者との関係性には様々な形態があり、その中の恋愛感情と他を分かつ基準がよくわからないというのが現状で、おそらくこれは一生謎のままだろうと思います。これに関しては、当然だと思っていて、むしろ今の異性愛規範が前提となった社会において、対人の「異性」とみなされた間柄は恋愛(性愛も含む)関係、そうでない「同性」間は友情とみなすあまりにも単純化されすぎた、しかし今でも力を持つ規範が、複雑な関係性をあまりにも単純に塗りつぶしてしまっているということなのではないかと考えているからです。(こうした恋愛的指向を定義づけること自体への疑念をいだいている点もクワロマ的ではあるのかもしれません。)

 

 

 恋愛伴侶規範と強制的性愛は、クィアコミュニティにもある

 

 こうした異性愛規範が内包する恋愛伴侶規範(amatonormativity)*4と、強制的性愛(compulsory sexuality)*5の影響は、セクシュアルマイノリティのコミュニティにおいても違った形態で存在していて、これ自体すごく複雑なテーマだと思いますが、私がある程度知識を有するゲイコミュニティに的を絞って説明すると、性愛的な関係性が重視されるという規範が根強くあります。この背景には、男性同士の性愛や恋愛関係がとりわけ近代以降の日本社会において差別や偏見に晒されてきたということは、念頭に置く必要がありますが、その上で、例えばクィアアイデンティティを持ったり、男性と性愛関係や恋愛関係を持つ男性やノンバイナリーを含んだ人々の中には、性愛や恋愛的なことを重視しない人、興味が薄かったり、ない人も存在しているはずです。

 

 

 しかし、そうしたクィア集団内の多様性が、今のゲイコミュニティにおいて十分に想定されているとはとても言い難い状況にあります。むしろ性愛に興味がないといった場合、否定や「治す」ように促されたりといった事態もありえます。*6

 

 

 また、これまで話した規範は全て具体的な他者との関係性を前提としており、非対人性愛的な志向を持つ人々*7を想定していない点でも問題があります。

 

 

 

 上述のように様々な点で問題だらけの社会規範の下では、「恋愛」や「友情」という語彙の意味合いもひどく狭い意味で用いられたり、一部の関係性にのみ社会的*8承認がなされています。

 

 

 私にとっては、「恋愛」も「友情」も完璧に定義づけることができない果てのない関係性だとは思いつつも、一方社会をやっていく以上はある程度それらの語彙の持つ意味合いを理解し、自分なりにどういうスタンスを取るのか明確化しておいた方が便利だし、何より「楽」になる気がするので、こうして思案を重ねているのですが、中々難しい作業となりそうです。

 

 

結びに

 

 現時点での恋愛と友情に対する私の理解をまとめると、それぞれ複雑すぎるから定義不可能という感じになるのですが、それでは堂々巡りに陥るので説明を試みると、例えば恋愛よりかは、友情という概念の方が色々な関係性を説明するうえでしっくり来る感覚があるのですが、私が友情とみなす感情の中に、「恋愛」感情を抱く人と共通するような感覚や、外形的にそう認識されるような事もありそうだと感じています。

 

 私は、最初に書いたように恋愛的な惹かれがわからないからか、友情や仲間がほしいといった感情はそれなりにあると感じています。*9

 

 次回は、友情を含めた関係性や、コミュニティのあり方について書いていこうと思います。

 

 

chiyuki7658.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:恋愛的に惹かれないセクシュアリティ

*2:

「クワロマンティック(クォイロマンティック)」とは何ですか? 定義は? | AセクAロマ部

*3:もちろん恋愛的惹かれ自体も濃淡があるし、性的な惹かれと恋愛的な惹かれが同じ対象とは必ずしも限らないが 

*4:一人の特別な人と恋愛して、結婚して、その人だけを大切にするというような規範のこと 恋愛伴侶規範についてより詳しく解説した夜のそらさんのサイトのリンクも貼っておきます https://note.com/asexualnight/n/ndb5d61122c96

*5:性愛を至上のものとする価値観のことで、実在の他者との性愛、それも規範的な性愛関係を自然に欲するという規範

*6:前者の具体例として性愛に対する距離を取りたいという私の価値観を正直にゲイバーで伝えたところ、やんわりと否定されるという経験をしたことがあります。

*7:フィクトセクシャルや対物性愛等

*8:またそれに付随する法的なものも含めた

*9:もちろん交友関係を志向しなかったり、その意欲が薄い人もいると思います