複雑系の渦に落ちて

ダラダラ生きていきたい 

否定的な感想:東京レインボープライド(TRP)に初参加してみて

 前回はTRP初参加(歩くわけではない)に際しての期待感と、疑念を書き連ねた

chiyuki7658.hatenablog.com

のですが、実際に行った感想を書いてみようと思います。ちなみに、先に結論を話してしまうと事前の懸念通りかなり否定的な体験になりました。

 

 

 

 

感想

否定的な感想 その1 人が多すぎ

 

入場制限などもされていないため、スムーズに人流が流れないような状況となっており(特に入口付近)、きちんと警備員などを配置しないと、今後群衆雪崩などが起こり得るのではないかという懸念も少しよぎるような状態だと感じました。

 

 

否定的な感想 その2 企業ブースが目立ちすぎ

企業ブースの規模感にも嫌な意味で圧倒されたのですが、何より外資系の世界中に良くも悪くも(悪い方が多いのでは)影響を与えるような企業が多く出店していて、東京のパワーを感じたりしつつ、私には(というかほとんどの人には)関係のない世界の人たちだなという感情になりました。

 

 

否定的な感想 その3 ミスジェンダリング普通にされる

これは、運営スタッフではなく、飲食系のブースの店員からなのですが、食べ物を受け取る前に「お兄さん」というような呼称をされたという事態がありました。そもそも、今どき「お兄さん」「お姉さん」呼称をすること自体、こうしたプライドイベントとか関係なく、無しだと思っています(普通にお客さん、お客様統一で済む)。こうした見かけから勝手にジェンダー化された呼称をされるということは、大阪でもあったので、これに関しては東京も大阪も、運営側はまじで何しているの?となりました。

 

否定的な感想 その4 独り身にはつらすぎ

 

私がブースに立ち寄ったのが21日日曜日の昼間だったのですが、朝から何も食べていなくて、人混みにも酔いはじめふらついてきたため、仕方なく飲食ブースで軽食を購入しました。先述の通りマイクロアグレッションされながらも、軽食は手に入れることはできましたが、周囲にはゆっくり食事をできるスペースなどはもちろんなく、代わりにあるのが座ることができない簡易机(しかもむちゃくちゃ密)だけ。ともかく人混みの中で手軽に食べられものでもなかったため、そこで食事を取ることにしたのですが、周りの人たちは誰かしらと来ている人がほとんど(というか私には全員がそう見えた)で、一人で延々と食事を取ること自体がいたたまれなくなるような感覚になってしまい、大急ぎで食事を済ませてさっさとその場から退散しました。いたたまれなくなったのは、あまりポジティブではない視線(早くどいてほしいのか、一人で食べてることへの視線なのかわからないが、とにかくあまり好意的ではないもの)を感じたからなのですが、今書いている内に思い出しても、結構不愉快だったなと回想します。

 

 

 

否定的な感想 その5 初めて来た人などが集まれるスペースが無い

 

これに関しては、たまたま大阪のレインボーフェスタに昨年参加した際に、宣伝していなさ過ぎて気づかなかったのですが、どうやら参加した人同士が交流できるスペースが存在したという話を聞いたため、東京の方がより規模も大きく、それこそ地元では身バレなどを恐れている人なども日本全国から集まって、なおかつ交流してみたいと思っている人もいるはずなのに、そうしたスペースが無かったこと(もしかしたらあったのかもしれませんが)に単純に悲しくなりました。初めて来た人同士が交流できるスペースがプライドイベントであるのかは、すごく重要だと思うので、逆に東京以外のイベントの事情などを今後知りたいなとは思いました。

 

否定的な感想 その6 健康な人しか想定されていない

これは、ブース内を歩いていた時の感想なのですが、運営側が設置したと見られる椅子が私が見た範囲では見られなかったということに、驚きました。企業ブースなどに入れば、座ることもできるのかもしれませんが、ただ、ゆっくり座って過ごすという行為ができない空間作りがなされている点に非常に問題を感じたし、大阪のプライドイベントも共通する問題があるとはいえ、休憩できるスペースはあったし、まだゆとりは感じられたなと思いました。

 

良い感想 ただしTRPのカウンターに関して

カウンター

逆に良かった点もあげたいのですが、それは運営側というよりも、NPOなど社会的な活動をされている人や、個々の人たちの中に、カウンター的なことをしている人(ピンクウォッシングに反対していると見られる人など)がいたので、その点には少しは希望を持ちたいと思えた部分がありました。

 

TRPから退散したあと、良いスペースで過ごせた

 

カウンター的なイベント「陰気なクィアパーティ」に参加したら、むちゃくちゃ良かったので、関西とか、あるいは全国各地でこうしたイベントが開催されてほしいと切に思いました。その場所は、代々木公園内の芝生にレジャーシートを敷いてあるスペースで、ゆっくりくつろいだり、雑談したり、本を読んだりと各々の楽しみ方ができる感じだったのですが、TRPのブースでの人混みや疎外感といったモヤモヤに疲れが溜まっていたこともあって、しばらくはボーとしていました。まず、そうしたふるまいが当たり前にできる空間であること自体、特に大都市においては貴重だし、もちろんTRPにおいてもなかったので、すごく居心地良く過ごすことのできる場所があるだけでも良かったなと感じます。と同時に、今のTRPが想定している人の枠組みの狭さに憤りも覚えはしました。

 

 

 まとめ

今後TRP行くか?

 こんな感じで、様々な媒体で批判されていた通り、私が目にした短時間でもかなり問題だらけに感じる点が見受けられたので、今後こうした問題点が洗い直されない限りは、TRPに参加したいとは思わないだろうなとは感じました。(カウンター的なイベントには行ってみたい)

 

それでも一瞬は勇気づけられた 

 ただ、それでも最初地下鉄の原宿駅を降りて、地上に出ていく段階から、レインボーフラッグや、クィア符牒となるアイテムを身に着けている人がたくさんいたことに高揚した部分はまずありました。そして代々木公園の入口、公園に入ってブースにかけて進んで行くにつれ、より多くの人が自身のアイデンティティに沿った身なりをして、あるいはそれに連帯を示すアイテムを身に着けているのを見て、それだけでも来た価値があるのではと、一瞬思ってしまったところはありました。最も、ブースでの体験でその期待感は見事に打ち砕かれるわけなのですが。

東京以外の大都市のプライドイベントの今後が心配

 あとは、大阪などの特に東京以外の大都市のプライドイベントも今後数年から10年くらいのスパンで、より大規模なイベントになっていくことなった場合、東京のような事にならないか懸念しているので、大規模化するプライドイベントのあり方について欧米圏の議論なども参考にして、批判的に検討していきたいなと思っています。

 

 もっとも大規模なイベントにより、多様な性に対する周知が図られる側面は無視できるものではないし、意義を否定するつもりもないですが、そうした大規模なイベントが、お行儀の良いマイノリティ*1というような、マイノリティ内の格差を再生産するような規範を課してしまっていることも否定できないのではと考えています。

 

オルタナティブの探求をやってみるかも?

 またそうした、東京などの大都市で行われるイベントとは違った形で、プライドを持てるようなイベントとか居場所、クィアたちが集まれるコミュニティのようなものができないだろうかという野望のようなものを実は抱き始めてきており、今回のTRPへの参加で、よりそうした思いが強くなってきた感覚があります。

 

 だからといって、今すぐ何かできるアイデアがあるとか、そんなに体力があるわけでもないのですが、少しずつ色んな選択肢を作っていけないか模索してみようと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:例えばホモノーマティビティのような規範 解説記事https://jobrainbow.jp/magazine/homonormativity